良くあるショットバーなどで、深夜0時~午前6時までの間も営業する場合に必要になる届出です。所轄の警察署を経由して、都道府県の公安委員会に提出することになります。
この時、お酒を提供することをメインとしない場合(例えばラーメン屋さんとかファミレスなど)には飲食店営業届だけで良いのですが、酒類の提供をメインにし、かつ接待のない(ラウンジなどでお姉さんが隣で接客してくれるものをイメージしてください)バーなどで必要になります。詳しく見て行きましょう。
そもそもなぜ届出が必要になる?
1.深夜の酒類提供による社会問題を防止するため
2.深夜の酒類提供による騒音や迷惑行為を防止するため
お酒を飲んで気が大きくなって、喧嘩したりだとか、騒いで近隣に迷惑をかけたりなどの影響が出ることもあるので、警察が適宜、指導や監督を行う必要があるために届出が必要という訳です。この届出は営業を開始する10日前までに行う必要がございますので、早めにご準備頂く必要があります。
必要な要件は?
では、具体的にどういった要件を備えていなければならないでしょうか? 要は、場所だったりとか、設備だったりとかで公安委員会が定めている一定のルールをクリアする必要があるのでそれらを見て行きましょう。
【場所の要件】:用途地域が制限区域でないこと。(都道府県により例外あり)
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・準住居地域及び田園住居地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
どうやって調べるのかですが、マップナビ大阪というサイトを使って頂ければ簡単に調べられます。リンクをクリックして住所検索をしてみてください。
【営業設備の要件】
1.客室の床面積は、1室の床面積を9.5㎡とすること。ただし、客室の数が1室のみである場合は、この限りでない。
2.客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
3.善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
4.客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
5.営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
6.騒音又は振動の数値が法第32条第2項において準用する法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
後述しますが、上記の内容を図面にまとめて公安委員会へ提出する必要があります。この図面が一番ハードルが高く、専門家に依頼してしまった方が早い理由でもあります。
【接待を伴わないこと】
接待とは何か?という話なのですが、具体的には以下のようなものがあげられます。
1.談笑・お酌
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たります。
2.ダンス等
特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音楽、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為は接待に当たります。
3.歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、もしくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、もしくは、ほめはやす行為または客と一緒に歌う行為は、接待に当たります。
4.遊戯等
客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たります。
5.その他(ボディタッチ等)
客と体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たります。
これらに該当する場合には深酒届ではなく、風俗営業許可(1号許可)を取る必要があります。
必要な書類は?
それでは届出の際にどのような書類が必要なのでしょうか? 箇条書きになりますが、以下のような書類が必要になります。
1.深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書
2.営業の方法
3.メニュー表
4.賃貸借契約書のコピー
5.使用承諾書
6.営業所の存在するフロアの平面図
7.営業所の配置状況を記載した図面
8.照明、音響、防音設備を記載した図面
9.営業所、客室面積の求積図及び求積表
10.営業所付近の見取図
11.飲食店営業許可証のコピー
12.住民票(本籍地の記載あり・法人の場合は役員全員分
13.履歴事項全部証明書(法人の場合)
14.定款のコピー(法人の場合)
15.その他、管轄警察署で求められた書類が必要となります(誓約書など)
かなりの量ですね。集めるだけでも大変なのですが、この中で6~10までは図面を作成する必要があります。CADが使える方にとっては面倒なだけで済むかもしれませんが、使えない方にとっては大変な労力です。(手書きでも寸法などが問題ないようであれば受け付けてもらえるようですが、一般的にはかなり厳しいです)
ですので、我々プロにご依頼を頂いてサクッと終わらせて頂くのが、手間も少なくて良いと思います。
料金について
飲食店営業許可から必要な場合で料金が異なります。下記の表をご確認下さい。
項目 | 料金 (税込) | 法定手数料 |
①飲食店営業許可申請 | 40,000円 | 16,000円 |
②深夜酒類提供飲食店営業届出のみ | 80,000円 | 0円 |
上記①②の両方を申請 | 100,000円 | 16,000円 |
尚、住民票等の添付書類もこちらで取得を希望される際には別途オプション料金がかかります。
まとめ
深夜における酒類提供飲食店営業届出は、社会問題や騒音・迷惑行為を防止するために必要です。提供するお酒がメインで、かつ接待のない場合に必要で、所轄の警察署を経由して都道府県の公安委員会へ提出します。届出が必要な理由は、深夜の酒類提供が引き起こす問題を防ぎ、警察の指導・監督を可能にするためです。
必要な要件には、用途地域が制限区域でないことや、営業設備の条件があり、また風営法上の接待は出来ません。提出書類は、深夜酒類提供飲食店営業の営業開始届出書や、営業の方法、メニュー表、賃貸借契約書、使用承諾書など多岐にわたり、特に図面の作成が必要で慣れていない方には大変ですので、行政書士にご相談を頂けますと幸いです。お問合せをお待ちしております。