遺言の種類とメリット・デメリットを徹底比較!自分に合った遺言書の選び方
遺言とは、自分の死後、財産や相続に関する意思を、法律的に効力を持たせるためのものです。遺言書を作成することで、自分の意思を尊重した遺産分割や、配偶者や子への扶養などの希望を実現することができます。
目次
遺言書には3種類あります
遺言書には、大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、自分に合った遺言書を選ぶことが大切です。
自筆証書遺言の特徴とメリット・デメリット
自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言書の全文、遺言書の作成日付および遺言者氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。
参照条文:民法968条(自筆証書遺言)
自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言のメリットは、以下のとおりです。
- 作成費用が安い
公正証書遺言の作成には、公証人への報酬や登録免許税などの費用がかかります。一方、自筆証書遺言は、作成費用がかかりません。
- 内容を秘密にできる
自筆証書遺言は、遺言者本人が自分で作成するため、内容を誰にも知られずに秘密にすることができます。
- 遺言者の意思を自由に記載できる
自筆証書遺言は、遺言者が自由に内容を記載できるため、遺言者の意思を実現しやすいというメリットがあります。
自筆証書遺言のデメリット
自筆証書遺言のデメリットは、以下のとおりです。
- 形式要件を満たさないと無効になる可能性がある
自筆証書遺言は、以下の形式要件を満たさないと無効になる可能性があります。
* 遺言書の全文を遺言者本人が自書する
* 遺言書に作成日付を記載する
* 遺言書に遺言者氏名を記載する
* 遺言書に押印する
- 保管場所を自分で決めなければならない
自筆証書遺言は、遺言者本人が保管場所を決めなければなりません。遺言書が紛失したり、偽造されたりすると、遺言書の執行に支障をきたす可能性があります。
- 遺言の執行までに時間がかかる場合がある
自筆証書遺言の執行には、家庭裁判所の検認手続きが必要です。検認手続きには、数週間から数ヶ月かかる場合があり、遺言の執行までに時間がかかる可能性があります。
公正証書遺言の特徴とメリット・デメリット
公正証書遺言とは、遺言者が公証人の面前で遺言内容を宣言し、公証人がその内容を正確に記録した遺言書です。作成するのに費用がかかり、2名の証人の署名捺印が必要になります。
参照条文:民法969条(公正証書遺言)
公正証書遺言のメリット
- 形式要件を満たしている
公正証書遺言は、公証人が作成するため、形式要件を満たしていることが確実です。そのため、遺言書が無効になるリスクが低いというメリットがあります。
- 遺言書の執行がスムーズ
公正証書遺言は、検認手続きが不要です。そのため、遺言書の執行がスムーズに進むというメリットがあります。
- 遺言書の内容が公証人によって保管される
公正証書遺言は、公証役場で保管されます。そのため、遺言書が紛失したり、偽造されたりするリスクが低いというメリットがあります。
公正証書遺言のデメリット
- 作成費用がかかる
公正証書遺言の作成には、公証人への報酬や登録免許税などの費用がかかります。
- 内容を秘密にできない
公正証書遺言は、公証人が作成するため、内容を秘密にできないというデメリットがあります。
- 遺言者の意思を自由に記載できない
公正証書遺言は、公証人が作成するため、遺言者の意思を自由に記載できないというデメリットがあります。
参考:公正証書遺言については日本公証人連合会のHPに分かりやすい記載がございます。
秘密証書遺言の特徴とメリット・デメリット
秘密証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言内容を記載し、封印した上で、公証人役場に保管してもらう遺言書です。
参照条文:民法970条(秘密証書遺言)
秘密証書遺言のメリット
- 内容を秘密にできる
秘密証書遺言は、その内容を秘密にすることができます。そのため、遺言の内容を家族や親族に知られたくない場合に適しています。
- 遺言者の意思を自由に記載できる
秘密証書遺言は、遺言者が自筆で作成するため、遺言者の意思を自由に記載することができます。そのため、公正証書遺言では記載できないような内容も記載することができます。
秘密証書遺言のデメリット
- 形式要件を満たさないと無効になる可能性がある
秘密証書遺言は、以下の形式要件を満たさないと無効になる可能性があります。
* 遺言書の全文を遺言者本人が自書する
* 遺言書に作成日付を記載する
* 遺言書に遺言者氏名を記載する
* 遺言書に封印する
- 検認手続きが必要
秘密証書遺言の執行には、家庭裁判所の検認手続きが必要です。検認手続きには、数週間から数ヶ月かかる場合があり、遺言書の執行までに時間がかかる可能性があります。
- 遺言書が紛失したり、偽造されたりするリスクがある
秘密証書遺言は、公証人役場に保管されるため、紛失や偽造のリスクが低いと言えますが、完全にゼロではありません。
まとめ
遺言の種類には、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
- 自筆証書遺言は、作成費用が安く、内容を秘密にできるのがメリットです。しかし、形式要件を満たさないと無効になる可能性があるため、注意が必要です。
- 公正証書遺言は、形式要件を満たすため、無効になるリスクが低く、安全性が高いのがメリットです。しかし、作成費用がかかる点はデメリットです。
- 秘密証書遺言は、内容を秘密にでき、偽造・改ざんを防止できるのがメリットです。しかし、作成費用がかかる点はデメリットです。
自分に合った遺言書を選ぶためには、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較検討することが大切です。遺言書の作成を検討している方は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
投稿者プロフィール
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1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。
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