トラブルの温床!? 「遺留分」について解説します
相続の制度はかなり複雑というか、分かりにくい部分も結構ありまして、その中でも「遺留分」についてはかなりややこしいのと共に、この制度があることで起こってしまうトラブルなんかもあり、個人的にはいかがなものかと思っています。しかし、相続で争いを避ける意味合いにおいては、絶対に知っておかなければいけない知識になりますので、今回は「遺留分」の基礎知識と、トラブル事例について解説していきます。
遺留分とは
まずは遺留分についての簡単な説明です。遺留分とは、仮に全財産を誰か一人に相続させると遺言書を書いたとしても、他の法定相続人は元々の自分の法定相続分の1/2は「ちょっと待って!オレにも貰える権利あるだろ?」と主張出来る権利の事です。(相続人が直系尊属のみが相続人の場合は1/3です)
参考:法定相続分についての解説はこちらの記事をご参照ください。
そして、この権利を実際に主張することを「遺留分侵害額請求」といって、相続トラブルの事例本なんかを見ると必ず出てくる、トラブルの代表格です。良くあるトラブル事例の一例を書いておきます。
よくある遺留分トラブルのケース
遺言書を書くとき、行政書士などの士業の監督の元に書いていただく場合には、こういったことは少ないのですが、自筆証書遺言を自分で書いた方に多いトラブルです。それは「偏った遺産分配」になった遺言書になっているケースなどです。
長男 大阪太郎(昭和60年2月22日生)にすべての財産を相続させる。
このように遺言書には書かれていたとします。遺言の内容としては有効ですが、トラブルの可能性は高いです。なぜなら他の相続人の遺留分(法律で定められた割合の半分)について考慮されていない為です。
その為、他の相続人から遺留分侵害額請求を申し立てられ、トラブルに発展することが考えられます。お金の話だけで済めば良いのですが、こういったケースは家族の関係もこじれてしまいがちなので、そうなると後々まで遺恨を残すことにもなりかねません。
遺留分トラブルを避ける為に、どうしておけば良かったか?
こういったトラブルを防ぐためには、まず「遺留分」という制度の存在を知っておくことがまず必要です。他にも以下の点に注意しておけば回避出来たかもしれません。
- 事前に遺言書の内容やどのように遺産を分けるか、家族間で話し合っておく
- 遺留分に最初から気を付けて、遺留分を侵害しない内容で遺言書を用意する
- 話合いで誰か一人に相続させると決まった場合、他の相続人には遺留分の放棄を申し立ててもらう
※相続権自体は相続開始前に放棄することは出来ませんが、遺留分については事前に家庭裁判所に申立てすることで放棄することが出来ます。
トラブル回避には遺言書作成から士業への相談がおススメです
このように相続は少しの間違い、知識が不足しているだけでもトラブルに発展してしまうケースがあります。せっかく相続の生前対策として遺言書を書いたにも関わらず、争いに発展してしまうのは避けたい所です。その点、行政書士に遺言書作成のご相談をしていただければ、遺留分に配慮したり、後で揉め事になりにくいような内容になるよう、アドバイスをしながら遺言書を作成していただくことが可能です。公正証書遺言のように公証人とのやり取りも、当日本番を迎えるまではこちらで対応させていただけますので、事前の対策をしっかりしておきたい場合には、行政書士にご相談くださいませ。
相続関連料金表
項目 | 料金 | 備考 |
---|---|---|
自筆証書遺言フルサポート | 44,000円 | 法務局保管制度を使う場合は別途見積 |
公正証書遺言フルサポート | 88,000円 | ※公証役場の手数料別途(金額は相続財産により異なる) |
推定相続人調査 | 33,000円~ | 相続人の数により異なる |
相続財産調査 | 33,000円~ | 銀行口座・不動産の数により異なる |
エンディングノートの作成サポート | 20,000円 | |
遺産分割協議書作成 | 55,000円~ | 相続人4人まで。5人以降参加の場合は追加料金 |
自筆証書遺言のチェック | 16,500円 | 既に書かれたものの内容チェックのみ |
公正証書遺言 証人就任 | 22,000円 | |
遺言執行者就任 | 別途見積 | 相続財産により異なる |
(公証人手数料令第9条別表)
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
投稿者プロフィール
-
1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。
最新の投稿
- 遺言・相続(行政書士)2024年9月23日不動産の管理行為に見る、生前対策の重要性
- お役立ち情報(不動産)2024年9月19日賃貸募集・ソシエ北大阪1番館 321号室
- お役立ち情報(不動産)2024年9月6日賃貸募集・朝日プラザヴェルデュール大正三軒家 307号室
- 遺言・相続(行政書士)2024年7月28日【コラム】遺留分について思う事│トラブル事例と共に解説