絶対知っておきたい!遺言書が無効になる5つのケースと対策
遺言書は、自分の意思で遺産を分配したり、相続争いを防いだりするために大切なツールです。しかし、せっかく作成した遺言書が無効になってしまうケースも存在します。
この記事では、遺言書が無効になる5つのケースと、無効にならないためにできる対策について解説します。
目次
1. 形式的な不備
自筆証書遺言は、以下の形式的な要件を満たさなければ無効になります。
- 全文を自筆で書く
- 日付、氏名、押印を記す
- 訂正する場合には、訂正箇所を日付と署名で訂正する
これらの要件は、一見簡単そうに見えますが、意外と見落としがちです。特に、訂正の仕方を間違えると、せっかくの遺言書が無効になってしまう可能性があります。
根拠条文は以下になります。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
要はご自身で有効な遺言書を書こうとする場合は、民法の条文をちゃんと確認した上で、指定されている方法で書かなければ無効になってしまうので、注意が必要です。
参考:公証役場のページにも注意点の記載がございますので合わせてご参照下さい。
2. 遺言能力の欠如
遺言能力とは、遺言の内容と結果を理解し、合理的な判断をする能力のことを指します。
以下の場合には、遺言能力が欠如していると判断され、遺言書が無効になる可能性があります。
- 15歳未満の未成年者
- 認知症などで判断能力が低下している
- 精神疾患などで正常な判断ができない
認知症や精神疾患の場合でも、医師の立会いなどで有効な遺言が出来る場合もありますが、やはり遺言や相続に関することは、元気なうちから準備をしておく必要があります。
(遺言能力)
第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
第九百六十二条 (省略)
第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
3. 脅迫や詐欺による作成
脅迫や詐欺によって書かされた遺言書は無効になります。
- 暴力を振るったり、脅迫したりして書かせた場合
- 虚偽の説明をして書かせた場合
ご自身の意思ではなく、お子さんに頼まれて書いたケースなどが一番多いようです。公正証書遺言を利用する場合でも、公証人さんの前で「さぁ、これから書面に起こして行こう」という状況になって「実は書いてくれと頼まれた・・・」と発覚するケースもあるようです。遺言は大切なご自身の意思の為、よくお考えになって、時には専門家と相談しながら書いて行くのがおススメです。
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
4. 公序良俗に反する内容
公序良俗に反する内容は、法律上認められません。
- 殺人や放火など、犯罪行為を助長する内容
- 特定の相続人を差別する内容
他にも「愛人にすべての財産を遺贈する」という遺言が公序良俗違反と判断された判例もあります。
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
5. 偽造
偽造された遺言書は無効になります。
- 本人の意思に反して、偽造された遺言書
- 本人の署名や捺印を偽造された遺言書
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
まとめ
遺言書は、大切な想いを確実に届けるために非常に重要な役割を果たします。しかし、形式的な不備や遺言能力の欠如など、いくつかのケースで無効になってしまう可能性があります。この記事で紹介した5つのケースと対策を参考に、無効にならないようにしっかりと準備を進めていきましょう。フェイス行政書士事務所では、遺言書の作成に関する無料相談を行っております。不安な点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。
相続人調査のみ、財産調査のみでもご相談可能です
遺言を残すかどうかもまだまだ考え中。そもそも何をして良いのかも分からない。そういった場合には相続関係説明図の作成のみや、相続財産の調査だけでもご相談頂くことが可能です。一派的な料金表を記載しておきますので、参考にして頂けますと幸いです。
遺言・相続相談メニュー | 料金 | 備考 |
自筆証書遺言作成サポート | 44,000円~ | 原案作成も対応致します |
公正証書遺言作成 | 66,000円~ | 相続財産による。要見積 また公証人手数料は別途かかります |
遺産分割協議書作成 | 55,000円~ | |
推定相続人調査(相続関係説明図作成) | 33,000円~ | 戸籍取得費用は別途実費請求致します |
相続財産の調査(財産目録の作成) | 33,000円~ | 相続財産により異なる。要見積 |
相続・遺言に関する相談業務のみ | 4,400円 | 1時間4,400円 |
自筆証書遺言のサポートのみ | 16,500円 | 既に書かれた遺言書のチェックのみ |
公正証書遺言 証人就任 | 22,000円 |
投稿者プロフィール
-
1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。
最新の投稿
- 遺言・相続(行政書士)2024年9月23日不動産の管理行為に見る、生前対策の重要性
- お役立ち情報(不動産)2024年9月19日賃貸募集・ソシエ北大阪1番館 321号室
- お役立ち情報(不動産)2024年9月6日賃貸募集・朝日プラザヴェルデュール大正三軒家 307号室
- 遺言・相続(行政書士)2024年7月28日【コラム】遺留分について思う事│トラブル事例と共に解説