「管理業務主任者」という資格について、行政書士が解説します!
「管理業務主任者」と聞いて、何をする資格かご存じでしょうか? ちょっとマイナーな資格なのですが、実は不動産業界では宅建の次くらいにメイン所の資格なんです。筆者も行政書士試験に合格する前の年に取得しました。(ペーパーなんですが・・・恥) 今回は一般的にはかなりマイナーなこの「管理業務主任者」という資格について解説させて頂きます。
マンション管理の要!管理業務主任者とは?
マンション管理業者が法令に基づいて設置が義務付けられている国家資格です。マンション管理業務に関する専門知識を持ち、管理組合と管理会社間の橋渡し役として、適切な管理業務の遂行をサポートします。
分譲マンションで管理組合の役員をしたことがある方はご存じかも知れませんが、「フロント」と呼ばれる管理会社の窓口担当で、管理会社の秘書のような立ち位置の方この資格を持っています。(時々持っていない人もいますが、その場合は一定の法定業務が出来ないのでその時は応援の方が来られます)
(管理業務主任者の設置)
第五十六条 マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。ただし、人の居住の用に供する独立部分(区分所有法第一条に規定する建物の部分をいう。以下同じ。)が国土交通省令で定める数以上である第二条第一号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。
2 前項の場合において、マンション管理業者(法人である場合においては、その役員)が管理業務主任者であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の管理業務主任者とみなす。
3 マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。
参照条文:マンション管理適正化法(e-GOV参照)
管理業務主任者が担当する業務
管理業務主任者が担当する業務は、主にマンション管理会社に委託している「基幹業務」と呼ばれる業務が中心になります。この基幹業務とは・・・
- 管理組合の会計の収入及び支出の調定
- 管理費・修繕積立金の出納業務
- マンション(専有部分は除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
この3点が業務の中心になり、他にも年に1回行われる総会の開催やそれに伴う、管理委託契約書・重要事項説明書への記名、毎月の理事会の開催、その他定期的に担当しているマンションを巡回して、修繕が必要なところがないか等を見て回るのも仕事で、かなり多岐に及びます。(その他、住民間のトラブルの相談窓口なんかもするので、中々のストレスのようです・・・)
管理業務主任者の設置義務
この管理業務主任者ですが、マンション管理会社を運営するには、管理組合数30に対して1人以上の管理業務主任者の設置義務がありますので、取得しているとある程度お歳を取った方でも再就職が狙えるというメリットがあります。
実際に筆者も、管理業務主任者の登録講習(実務経験がない人が登録するにはこの講習を受けなければならない)に行った時、およそ7割以上の方が、アラフィフ以上くらいの年代の方が多かったです。(たまに若い女性なんかがいると2度見してしまうくらいレアな存在です。苦笑)
管理業務主任者になるには?
この試験は国家資格で、毎年12月1周目の日曜日に開催される国家試験に合格し、国土交通省に登録をすることで管理業務主任者証の交付を受けることが出来ます。
試験の概要は以下になります。
- 毎年12月1周目の日曜日に開催
- 令和5年度は14,652人の受験者に対し、合格者数3,208人
- 合格率は21.9% 合格基準点35点(50点満点中)
大体毎年、7割得点くらいが目安になります。合格までに必要な勉強目安時間は300時間くらいと言われていて、宅建試験と比べて暗記系の問題が多い印象です。
管理業務主任者の試験科目
この試験の50問中、試験範囲の科目は以下の通りです。
- 区分所有法
- マンション標準管理規約
- マンション管理適正化法
- マンション管理委託契約書
- 民法
- 仕訳(簿記)
- その他の法令(宅建業法、賃貸管理業法、消防法、警備業法など)
- 建築、設備
この辺りが受験科目です。宅建よりは簡単と言われていますが、試験範囲は宅建よりもかなり広く、満遍なく対策するにはかなり難しいので、頻出問題は絶対に取る!仕訳問題も落とさない!そして、絶対分からない問題も出るのでその時は・・・無視して次の問題に行って下さい。後、個数問題が沢山出るので心が折れないように自分を保って下さいね!
まとめ
管理業務主任者は、マンション管理の円滑な運営を支える重要な役割を担う資格です。マンションのストック数は年々増加しており、ますます管理業務主任者の役割は重要になってきていると言えます。マンション管理には広範な知識と組合員さんとのコミュニケーションが必要ですので、かなり大変なお仕事ですが、その分、社会的な意義も大きく、やり甲斐のあるお仕事です。特に、マンション管理会社にとっては1定数の管理業務主任者の確保が必要になりますので、ある程度、歳を取ってからの就職にも強く、おススメの資格です。
投稿者プロフィール
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1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。
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