株式会社の定款の記載事項(相対的記載事項・任意的記載事項)
前回の記事では、株式会社の定款の記載事項のうち、記載がないと定款が無効になる「絶対的記載事項」について解説しました。今回は、記載がなくてもよいが、記載がないとその事項についての効力が生じない「相対的記載事項」と、記載しなくてもよいが、記載すると便利な「任意的記載事項」について解説します。
相対的記載事項(記載がないとその事項についての効力が生じない)
相対的記載事項とは、記載がなくてもよいが、記載がないとその事項についての効力が生じない事項です。具体的には、以下の事項が相対的記載事項に該当します。
- 取締役会の設置
株式会社には、取締役会を設置することが原則です。取締役会は、会社の意思決定機関であり、重要な事項について決議します。取締役会の設置を定款に記載しないと、取締役会を設置することができません。
- 監査役会の設置
株式会社には、監査役会を設置することもできます。監査役会は、会社の業務を監査する機関であり、取締役の職務執行を監督します。監査役会の設置を定款に記載すると、監査役会を設置することができます。
- 会計監査人の設置
株式会社には、会計監査人を設置することもできます。会計監査人は、会社の財務諸表を監査する機関であり、会社の財務諸表の正確性を保証します。会計監査人の設置を定款に記載すると、会計監査人を設置することができます。
- 株式譲渡制限に関する定め
株式譲渡制限とは、株式の譲渡を制限する制度です。株式譲渡制限に関する定めを定款に記載すると、株式の譲渡を制限することができます。
- 定款の変更に関する定め
定款の変更は、取締役会または株主総会の決議が必要です。定款の変更に関する定めを定款に記載すると、定款の変更手続きを定めることができます。
任意的記載事項(記載しなくてもよいが、記載すると便利)
任意的記載事項とは、記載しなくてもよいが、記載すると便利な事項です。具体的には、以下の事項が任意的記載事項に該当します。
- 事業年度
事業年度とは、会社の1年の事業活動を区切る期間です。事業年度を定款に記載すると、会社の決算期や税務上の事業年度を定めることができます。
- 役員の員数
役員の員数とは、会社の役員の数です。役員の員数を定款に記載すると、会社の役員の人数を定めることができます。
- 取締役の選任方法
取締役の選任方法とは、取締役を選任する方法です。取締役の選任方法を定款に記載すると、取締役の選任方法を定めることができます。
- 取締役会の決議の方法
取締役会の決議の方法とは、取締役会で決議する際に必要な議決権の過半数や出席要件などのことです。取締役会の決議の方法を定款に記載すると、取締役会の決議方法を定めることができます。
- 監査役の選任方法
監査役の選任方法とは、監査役を選任する方法です。監査役の選任方法を定款に記載すると、監査役の選任方法を定めることができます。
- 監査役会の決議の方法
監査役会の決議の方法とは、監査役会で決議する際に必要な議決権の過半数や出席要件などのことです。監査役会の決議の方法を定款に記載すると、監査役会の決議方法を定めることができます。
- 株式譲渡の承認に関する定め
株式譲渡の承認に関する定めとは、株式を譲渡する際に、会社や他の株主の承認を得ることを定めたものです。株式譲渡の承認に関する定めを定款に記載すると、株式の譲渡を制限することができます。
- 利益配当に関する定め
利益配当に関する定めとは、利益の配当方法や配当基準などを定めたものです。利益配当に関する定めを定款に記載すると、利益の配当方法や配当基準を定め
- 剰余金の処分に関する定め
剰余金の処分に関する定めとは、剰余金の処分方法や処分先などを定めたものです。剰余金の処分に関する定めを定款に記載すると、剰余金の処分方法や処分先を定めることができます。
定款認証に関しての実務上のお話
会社設立をする際には定款を作成して公証役場で認証をする必要があります。多くの場合は会社を設立されようとしている方はお忙しく、慣れない定款を一つ一つ調べながら作成して、勝手の分からない定款認証をご自身でされるのはとても手間がかかりますので、士業が代理して対応するのが一般的です。(この時、依頼を受ける士業は「嘱託人」と言います)
士業に依頼をすると費用が掛かってしまうのがデメリットにはなるのですが、代わりに電子定款という方法で認証作業を行うので、印紙代の4万円がかからず、ご自身で対応される場合に比べて、少し上乗せする程度の費用で済むのは意外と知られていません。また、大体の行政書士は融資サポートも対応していますので、日本政策金融公庫に融資を申込みをするのも手伝ってくれますから、ポジショントーク臭く聞こえるかも知れませんが、ご依頼頂くのがおススメです。
参考:電子定款についての概要は交渉役場のHPをご参照下さい。
まとめ
株式会社の定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類があります。会社設立の際には、これらの記載事項の種類と内容を正しく理解した上で、定款を作成することが重要です。
投稿者プロフィール
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1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。
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