【宅建業許可】宅建業における政令使用人について解説します

宅建業の手引きなどを読んでいると「政令使用人」という言葉が出てきます。具体的には、宅地建物取引業者の従たる事務所(支店や営業所)で契約を締結する権限を委譲された責任者を指します。ではどのような場合に政令使用人を置く必要があるかご存じでしょうか? 今回はこの政令使用人について解説していきます。

※参考:代表者及び政令第2条の2で定める使用人について

そもそも政令使用人とは?

政令使用人は、宅建業免許において事務所の代表者として契約を締結する権限を有する者です。宅建業免許の範囲内で就任させる役職であり、会社の登記簿謄本に記載されるものではありません。専任の宅地建物取引士や一般従業員が務めることができますが、実務上の責任者に就任してもらうことが望ましいです。

例えば、1人社長の会社で代表取締役が常駐している場合などは、そもそも政令使用人を設置する必要がありません。逆に設置が必要な場合を次項でご案内します。(それに対し、専任の宅地建物取引士は事務所毎に1名以上、かつ5人に1人以上設置が必要になります)

政令使用人の設置が必要な場面

  1. 支店を開設したとき
    • 支店を開設する際には、同時に政令使用人(支店長)を選任し、都道府県庁へその旨の届出を行う必要があります。
    • 本店と支店同時に常勤することはできないため、支店を開設する場合は政令使用人を設置する必要があります。
  2. 代表者が常勤でなくなったとき
    • 代表者が別の会社を設立したり、別の会社の常勤役員に就任したりする場合、政令使用人を設置する必要があります。
    • 代表者が常勤でなくなる理由によりますが、政令使用人の設置を意識しておくことが重要です。

実務上は専任の宅地建物取引士が兼任するケースが多いです

政令使用人は「宅建業における契約締結の権限を有する者」と定義されていますので、取引に関する法律にも一定の知見を有する方=宅地建物取引士が就任するケースが多く、また営業所には必ず専任の取引士がいる関係上、専任の取引士が政令使用人を兼ねることが一般的です。

※専任の宅地建物取引士と同様、政令使用人にも欠格要件がございます

まとめ

今回は「政令使用人」について解説させていただきました。実は私自身がそうだったのですが、宅地建物取引士の資格を取るまでは政令使用人は必ず設置する必要があると勘違いをしていました。同じような勘違いをしている方もおられるかも知れませんので、本記事で整理していただければ幸いです。

投稿者プロフィール

出野 勝巳
出野 勝巳
1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。