大阪市の「特区民泊」申請について

特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業申請)という言葉を聞かれた方も多いと思います。近年、資産運用の一環や事業として民泊運営を検討される方も増えてきているようです。
要件や手続き方法はもちろん、法令への適合性や周辺住民への説明など、やるべきことがかなり多いので、行政書士にご依頼頂くことの多い業務です。
特に大阪市では万博やIR、地下鉄の新路線などで注目を浴びていますので、概要を説明させて頂きます。
※注意 地域の条例によって要件が異なる場合があります。今回は大阪市を例にとって行きます。

参照:国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(いわゆる「特区民泊」)について

特区民泊とは?

特区民泊の概要ですが、正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と言います。コロナ渦が終了してから急激に増える外国人観光客の宿泊施設の供給が追い付いていないと言われており、今後、供給不足は更に加速していくと考えられています。そこで、「国家戦略特区法」の法整備と、地域毎の条例を整備して、民泊運営を行えるようにしたのがこの制度です。
よく似た法律に「旅館業法」がありますが、この旅館業法との大きな違いは特区民泊は「短期賃貸借(旅館業法の例外)」にあたるため、2泊3日以上の滞在でないとダメな所が大きな違いです。(1泊をOKにしてしまうと「いや、明らかに宿泊施設でしょう!?」となってしまうからだそうです)

特区民泊が出来るエリア

この特区民泊ですが、どこでも出来る訳ではありません。滞在施設経営事業にかかる区域計画により定められた区域に限られます。
原則として、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(第一種住居地域にあっては、1棟あたりのその用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以下)が実施可能な区域となります。また、滞在施設経営事業が実施可能な用途地域と実施できない用途地域にまたがる建築物について、実施可能な用途地域の面積がその敷地面積の過半である場合は実施できます。

こちらの地図上で分かりにくい場合には、マップナビ大阪(外部リンク)というサイトがありますので、該当住所を入力すれば簡単に調べることが可能です。

特区民泊で必要な面積

大阪市で特区民泊を行う場合、必要な面積が25㎡以上(壁芯面積)と規定されております。壁芯面積って聞きなれないことばですよね? 壁芯面積とは、壁や柱の厚みの中心線で測られた建物の面積のことです。建築基準法は大体この壁芯面積を用いる為、不動産屋さんの物件資料やパンフレットなんかは大体、壁芯面積で記載されています。(余談になりますが、一般的な分譲マンションの登記の際には「内法面積」という計測方法を使います。これはお部屋の内側線を基準に算出した面積で、登記簿謄本の面積はちょっと小さくなるのは計測の方法が違う為です)
では25㎡ってどのくらいの広さなのか? ワンルームマンションで例えると、水廻りが3点セパレートで全部分かれていて、かつお部屋が8帖以上あるくらいの大きめのお部屋が該当します。

※右の画像で約25.1㎡のお部屋です。


特区民泊に必要な設備

特区民泊には必要設備として規定されているものがございます。これは独立した住居スペースとして認められるだけの室内設備が揃っていることが求められている為です。

  • 台所
  • トイレ
  • 浴室
  • 洗面
  • テーブル
  • イス
  • 収納家具
  • 調理器具
  • 清掃器具(具体的には掃除機、雑巾、ゴミ箱が絶対に必要!!)
  • エアコン
  • 施錠設備(お部屋の鍵のことです)

要は住居の短期賃貸借をするという建前の為、そこで住むことが出来るよう最低限必要な設備を備えていることが求められる為です。必要消防設備等も別途定められていますので後述します。

消防用設備等の必要な要件

特区民泊を実際に行う建物の規模や階数によっても異なりますが、以下のような消防用設備を備えていることが求められる場合がございます。

  • 自動火災報知設備(必須)
  • 誘導灯(必須)
  • 消火器
  • 屋内消火栓設備
  • スプリンクラー設備
  • 避難器具
  • 連結送水管
  • 非常用コンセント
  • その他、消防署担当者との協議で指示のあったもの

尚、最終的に特区民泊の申請書は保健所に提出することになるのですが、その際の必要書類で「消防法令適合通知書」という書類が必要になるため、保健所に申請する前段階で消防署との協議&申請が必要になります!! まずは必要な消防設備を備えて、消防署に申請を出すと、後日、設備や避難経路の確認の為、消防検査が実施されます。

周辺住民への説明会の開催

特区民泊を行うにあたっての消防署への申請が済んだら、消防検査の前に周辺住民への説明会の案内&説明会の開催を行います。案内の配布から実際の説明会までは1週間以上あけて開催しないと、保健所から指摘を受けますので、必ず1週間以上の余裕を持って告知をすることになります。尚、説明会に来れない方の為に、この事前案内の配布の時点で説明会当日の必要事項も記載しておくようにします。

ではどこまでの周辺住民への説明が必要かと言いますと、当該建物敷地から最低でも10m以内の住民に説明が必要となっています。仮に10m隣の建物がマンションなどの集合住宅の場合には、その居住者全員が説明対象になりますのでお気をつけ下さい。

廃棄物の処理に関する報告(環境局へ)

大阪市で特区民泊を行うに当たって、もう一つ注意が必要なことがゴミについてです。普通に住んでいる方が出したゴミであれば自治体が回収してくれることになるのですが、民泊利用者の出したゴミは、その性質上「産業廃棄物」として扱われることになります。そのため、利用者さんから出たゴミをどのように回収するのか?(どこの業者さんが回収されるのか?)を事前に環境局に届け出ておく必要があります。
※具体的には下記の内容の書類です。

特区民泊認定申請&かかってくる費用

大阪市で特区民泊を行う場合、ここまでの手続きを済ませた後、いよいよ保健所に「特区民泊認定申請」を行うことになります。申請書自体は簡単な書式なのですが、ここまでの事前準備がかなり大変な為、大体の方は行政書士にご依頼を頂いてサポートを受けながら申請に至るケースがほとんどです。(当然、説明会の開催も同席の上、対応致しますのでご安心下さい) それでは費用面などのご案内です。

項目費用
特区民泊認定申請(法定費用)21,200円
行政書士報酬(新規申請・着手金半金要)220,000円
相談料初回相談でご依頼の際は無料
それ以外は5,000円/時間
実地や図面作成を含みます。

尚、申請後の標準処理期間は検査後、保健所の検査後、約3週間です。検査までに施設内の「案内書」と「標識」を整備することになります。

物件探しも当事務所で承る事が可能です!

大阪市で特区民泊をご検討の場合、物件探しは不動産屋に依頼して、申請手続きを行政書士に依頼される方が多いですが、当事務所は宅建免許を保持しておりますので、まとめてご依頼頂くことが可能です。そのため、あっちに行ってこっちに行ってなんてことはせずに済み、行政書士がワンストップで対応させて頂けますので手間が少なく、最初から最後まで対応させて頂くことが可能です! 仲介手数料もお安くさせて頂くことが可能ですので、是非ご相談頂けますと幸いです!!

まとめ

大阪市で特区民泊を行う場合の概要を説明させて頂きました。細かい要件や内容はもっと沢山あるのですが、ざっくりとした概要はこんな感じの内容になります。前向きにご検討頂ける場合には、是非お問合せ頂けますようお願い致します。

投稿者プロフィール

出野 勝巳
出野 勝巳
1980年生まれ。若い頃はしがないバンドマンでヴォーカルをしていた。
不動産会社に勤務する傍ら、お酒を止めたことを機に39歳から勉強を始め、宅建を皮切りに管理業務主任者、簿記2級、行政書士と資格取得を通じてステップアップし、開業に至るという変わった経歴を持つ。